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大津地方裁判所 平成11年(行ウ)2号 判決 2000年6月19日

第一事件原告

北村陽子

第二事件原告

北村銀市郎

右両名訴訟代理人弁護士

水野武夫

籠池信宏

野村高志

右訴訟復代理人弁護士

阿部秀一郎

被告

大津税務署長 宇都宮正

右指定代理人

佐野年英

原田一信

山本弘

久木田利光

三橋芳江

黒川照彦

木本正行

松村秀之

浅野由佳

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

【第一事件関係】

1 被告が、第一事件原告北村陽子(以下「原告陽子」という。)の平成四年分ないし平成六年分の各所得税について、平成九年五月八日付けで行った原告陽子の平成七年一〇月一六日付け各更正の請求に対する棄却処分を取り消す。

2 被告が、原告陽子の平成七年分の所得税について、平成九年五月八日付けで行った更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

3 被告が、原告陽子の平成八年分の所得税について、平成九年一二月一九日付けで行った更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

4 被告が、原告陽子の平成九年分の所得税について、平成一〇年七月九日付けで行った更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

5 訴訟費用は被告の負担とする。

【第二事件関係】

1 被告が、第二事件原告北村銀市郎(以下「原告銀市郎」という。)の平成四年分ないし平成六年分の各所得税について、平成九年五月八日付けで行った原告銀市郎の平成七年一〇月一六日付け各更正の請求に対する棄却処分を取り消す。

2 被告が、原告銀市郎の平成七年分の所得税について、平成九年五月八日付けで行った更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

3 被告が、原告銀市郎の平成八年分の所得税について、平成九年一二月一九日付けで行った更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

4 訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  本案前の答弁

(一) 被告が、原告陽子の平成四年分及び平成五年分の各所得税について、平成九年五月八日付けで行った原告陽子の平成七年一〇月一六日付け更正の請求に対する棄却処分の取消しを求める訴え(第一事件請求の趣旨1の一部)をいずれも却下する。

(二) 被告が、原告銀市郎の平成四年分及び平成五年分の各所得税について、平成九年五月八日付けで行った原告銀市郎の平成七年一〇月一六日付け更正の請求に対する棄却処分の取消しを求める訴え(第二事件請求の趣旨1の一部)をいずれも却下する。

(三) 訴訟費用は原告らの負担する。

2  本案の答弁

主文同旨

第二事案の概要

一  争いのない事実及び証拠等により明らかに認められる事実(末尾に証拠等の記載のない事実は争いがない。)

1  第一事件関係

(一)(1) 原告陽子は、平成三年三月当時、株式会社旭保険代行(以下「旭保険代行」という。)に一般事務を担当する者として勤務し、平成九年四月からは取締役に就任し、旭保険代行から給与又は役員報酬の支払を受けていた。

(2) 原告陽子は、平成三年三月七日、日産生命保険相互会社(以下、「日産生命」という。)との間で、生命保険募集に関する業務委託に係る「個人募集代理店契約」(以下「本件代理店契約<1>」という。)を締結した。

同契約は、当時、旭保険代行が、保険募集の取締に関する法律(平成七年六月七日法律一〇五号による廃止前のもの)一〇条により、代理店契約を複数の保険会社と行うことはできなかったため、原告陽子と日産生命との間で締結されたものである。

(3) 原告陽子は、平成四年から平成九年までの間、生命保険募集に関する業務に直接従事したことはなく、保険代理業務に関する帳簿も一切作成していなかった。

(4) 本件代理店契約<1>に基づく日産生命からの代理店報酬(以下「本件代理店報酬<1>」という。)は、大阪市信用金庫本店営業部又は株式会社東海銀行船場支店の原告陽子名義の普通預金口座(以下「本件口座<1>」という。)に振り込まれていたが、同口座に係る通帳及び印鑑は、旭保険代行が保管・管理しており、振込の直後に同額の金員が出金されて旭保険代行名義の預金口座に入金されていた。

また、日産生命から送付される関係書類等も旭保険代行宛てに送付され、同社が保管・管理していた。

(二)(1) 原告陽子は、平成五年三月一二日、枚方税務署長に対し、平成四年分の所得税について、本件代理店報酬<1>は旭保険代行に帰属するものとして、本件代理店報酬<1>に係る事業所得の金額及び源泉徴収税額はいずれもゼロとし、左のとおり、確定申告をした。

総所得金額 一六一万三〇〇〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 一六一万三〇〇〇円

源泉徴収税額 三万二六〇〇円

納付すべき税額 零円

(2) 原告陽子は、平成六年三月一五日、枚方税務署長に対し、平成五年分の所得税について、(1)と同様に、本件代理店報酬<1>は旭保険代行に帰属するものとして、本件代理店報酬に係る事業所得の金額及び源泉徴収税額はいずれもゼロとし、左のとおり、旭保険代行からの給与所得のみの確定申告をした。

総所得金額 二六〇万五八〇〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 二六〇万五八〇〇円

源泉徴収税額 一九万六〇〇〇円

納付すべき税額 零円

(3) 原告陽子は、平成七年三月一五日、被告に対し、平成六年分の所得税について、(1)、(2)と同様に、本件代理店報酬<1>は旭保険代行に帰属するものとして、本件代理店報酬<1>に係る事業所得の金額及び源泉徴収税額はいずれもゼロとし、左のとおり、旭保険代行からの給与所得のみを確定申告をした。

総所得金額 一九〇万四二〇〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 一九〇万四二〇〇円

源泉徴収税額 九万九七〇〇円

納付すべき税額 零円

(4) (1)ないし(3)の各確定申告書には「<3>税金から差し引かれる金額」欄の「源泉徴収税額欄」に、本件代理店報酬<1>とそれに係る源泉徴収税額が括弧書きされた後に、「上記外交員報酬は(株)旭保険代行の収益に帰属すべきもので申告人の所得となりません(別紙契約書)」などと付記されており、原告陽子と旭保険代行の間の平成四年四月一日付け労働契約書(第一事件乙二、以下「本件労働契約書<1>」という。)、旭保険代行が発行した源泉徴収票及び日産生命が発行した報酬等の支払調書が添付されていた。

本件労働契約書<1>には、旭保険代行が原告陽子を正社員として雇用し、その報酬を支払うこと及び原告陽子が日産生命との契約により支払を受ける報酬についてはすべて旭保険代行に帰属することが記載されていた。

(三)(1) 原告陽子は、平成七年一〇月一六日、枚方税務署長に対し、平成四年分の所得税について、左のとおり、本件代理店報酬<1>を収入金額とし、本件代理店報酬<1>から源泉徴収税額相当額を差し引いた金額を仕入金額(右の金額を原告陽子の旭保険代行に対する支払手数料とする趣旨とみられる。以下、原告両名について同様である。)とし、事業所得の金額を源泉徴収税額相当額として、本件代理店報酬<1>に係る源泉徴収税額について還付を求める旨の更正の請求をした。

総所得金額 六五六万四九七五円

内訳 事業所得の金額 四九五万一九七五円

給与所得の金額 一六一万三〇〇〇円

源泉徴収税額 四九八万四五七五円

納付すべき税額(還付金) △四二二万八九七五円

(2) 原告陽子は、同日、枚方税務署長に対し、平成五年分の所得税について、左のとおり、(1)と同様に更正の請求をした。

総所得金額 三三六万五九五〇円

内訳 事業所得の金額 七六万〇一五〇円

給与所得の金額 二六〇万五八〇〇円

源泉徴収税額 九五万六一五〇円

納付すべき税額(還付金) △六八万四一五〇円

(3) 原告陽子は、平成七年一〇月一七日、被告に対し、平成六年分の所得税について、左のとおり、(1)、(2)と同様に更正の請求をした。

総所得金額 二四七万六二〇〇円

内訳 事業所得の金額 五七万二〇〇〇円

給与所得の金額 一九〇万四二〇〇円

源泉徴収税額 六七万一七〇〇円

納付すべき税額(還付金) △五二万六一八〇円

(4) 原告陽子は、平成八年三月一五日、被告に対し、平成七年分の所得税について、左のとおり、本件代理店報酬<1>を収入金額とし、本件代理店報酬<1>から源泉徴収税額相当額を差し引いた金額を仕入金額とし、事業所得の金額を源泉徴収税額相当額として、本件代理店報酬<1>に係る源泉徴収税額について還付を求める旨の確定申告をした。

総所得金額 三六五万〇四〇〇円

内訳 事業所得の金額 一二八万八〇〇〇円

給与所得の金額 二三六万二四〇〇円

源泉徴収税額 一四二万四四〇〇円

納付すべき税額(還付金) △一一七万八四九五円

(5) 原告陽子は、平成九年三月一七日、被告に対し、平成八年分の所得税について、左のとおり、(4)と同様に確定申告をした。

総所得金額 四七七万五九〇〇円

内訳 事業所得の金額 一九五万五九〇〇円

給与所得の金額 二八二万円

源泉徴収税額 二一二万八五〇〇円

納付すべき税額(還付金) △一七一万一一〇〇円

(6) 被告は、原告陽子に対し、(4)、(5)の還付金をそれぞれ還付した(乙五、弁論の全趣旨)。

(四)(1) 被告は、平成九年五月八日、原告陽子に対し、(三)(1)、(2)については、更正請求の期限を徒過しているとして、(三)(3)については、本件代理店報酬<1>が原告陽子に帰属するものではないとして、いずれも更正の請求を棄却する処分をした。

(2) 被告は、同日、原告陽子に対し、平成七年分の所得税について、本件代理店報酬<1>は原告陽子に帰属するものではないとして、左のとおりとする更正処分及びこれにかかる過少申告加算税一五万〇五〇〇円とする賦課決定をし、原告陽子に通知した。

総所得金額 二三六万二四〇〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 二三六万二四〇〇円

源泉徴収税額 一三万六四〇〇円

納付すべき税額 零円

(3) 原告陽子は、被告に対し、同月一四日、(1)の処分を不服として、同月二二日、(2)の処分を不服として、それぞれ異議申立てをしたところ、被告は、同年七月七日、異義申立てをいずれも棄却する決定をした。

(4) 被告は、平成九年一二月一九日、平成八年分の所得税について、(2)と同様に本件代理店報酬<1>は原告陽子に帰属するものではないとして、左のとおりとする更正処分及びこれにかかる過少申告加算税二三万一五〇〇円とする賦課決定をし、原告陽子に通知した。

総所得金額 二八二万円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 二八二万円

源泉徴収税額 一七万二六〇〇円

納付すべき税額 零円

(5) 原告陽子は、平成一〇年一月二七日、被告に対し、(4)の処分を不服として異議申立てをしたところ、被告は、同年四月二〇日、異義申立てを棄却する決定をした。

(五)(1) 原告陽子は、平成一〇年三月一六日、被告に対し、平成九年分の所得税について、左のとおり、(三)(4)と同様に確定申告をした。

総所得金額 一八六万円

内訳 事業所得の金額 五〇万円

給与所得の金額 一三六万円

源泉徴収税額 五六万六〇〇〇円

納付すべき税額(還付金) △四五万円

(2) 被告は、原告陽子に対し、(1)の還付金を還付した(弁論の全趣旨)。

(3) 被告は、平成一〇年七月九日、平成九年分の所得税について、(四)(2)と同様に、左のとおりとする更正処分及びこれにかかる過少申告加算税四万五〇〇〇円とする賦課決定をし、原告陽子に通知した。

総所得金額 一三六万円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 一三六万円

源泉徴収税額 六万六〇〇〇円

納付すべき税額 零円

(4) 原告陽子は、同月三〇日、被告に対し、(3)の処分を不服として異議申立てをしたところ、被告は、同年一〇月五日、異議申立てを棄却する決定をした。

(5) 原告陽子は、同月三〇日、被告に対し、(3)の処分を不服として異議申立てをしたところ、被告は、同年一〇月五日、異議申立てを棄却する決定をした。

(六) 原告陽子は、国税不服審判所長に対し、平成四年分ないし平成九年分の各所得税に係る各異議棄却決定((四)(3)、(5)、(五)(4))に対しなお不服があるとして、平成四年分ないし平成七年分の各所得税については平成九年八月四日、平成八年分の所得税については平成一〇年五月一四日、平成九年分所得税については平成一〇年一〇月一四日、それぞれ審査請求をした。

国税不服審判所長は、同年一二月一四日、右審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。

2  第二事件関係

(一)(1) 原告銀市郎は、平成四年三月二日、アメリカン・ライフ・インシュランス・カンパニー(以下、「アメリカン・ライフ」という。)との間で、生命保険募集に関する業務委託に係る「生命保険募集代理店委託契約」(以下「本件代理店契約<2>」という。)を締結した。

同契約は、本件代理店契約<1>と同様に、旭保険代行が、法律により、代理店契約を複数の保険会社と行うことはできなかったため、原告銀市郎とアメリカン・ライフとの間で締結されたものである。

(2) 原告銀市郎は、平成八年六月一三日、アメリカン・ライフとの間で、生命保険募集に関する業務委託に係る「生命保険募集代理店委託契約」(以下「本件代理店契約<3>」という。)を締結した。

(3) 原告銀市郎は、平成四年以降、株式会社日本ケイテム(以下「日本ケイテム」という。)に勤務しており、生命保険募集に関する業務に直接従事したことはなく、保険代理業務に関する帳簿書類も一切作成していなかった。

(4) 本件代理店契約<2>、<3>に基づくアメリカン・ライフからの報酬(以下「本件代理店報酬<2>」という。)は、大阪市信用金庫本店営業部又は株式会社東海銀行船場支店の原告銀市郎名義の普通預金口座(以下「本件口座<2>」という。)に振り込まれていたが、同口座に係る通帳及び印鑑は、旭保険代行が保管・管理しており、振込の直後に同額の金員が出金されて旭保険代行名義の預金口座に入金されていた。

また、アメリカン・ライフから送付される関係書類等も旭保険代行宛てに送付され、同社が保管・管理していた。

(二)(1) 原告銀市郎は、平成五年三月一二日、枚方税務署長に対し、平成四年分の所得税について、本件代理店報酬<2>は旭保険代行に帰属するものとして、本件代理店報酬<2>に係る事業所得の金額及び源泉徴収税額はいずれもゼロとし、左のとおり、確定申告をした。

総所得金額 零円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 零円

源泉徴収税額 零円

納付すべき税額 零円

(2) 原告銀市郎は、平成六年三月一五日、枚方税務署長に対し、平成五年分の所得税について、(1)と同様に、本件代理店報酬<2>は旭保険代行に帰属するものとして、本件代理店報酬<2>に係る事業所得の金額及び源泉徴収税額はいずれもゼロとし、左のとおり、確定申告をした。

総所得金額 三一五万三〇〇〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 三一五万三〇〇〇円

源泉徴収税額 一五万九五〇〇円

納付すべき税額 零円

(3) 原告銀市郎は、平成六年分の所得税について、左のとおり、二重に確定申告をした。

イ 確定申告日 平成七年二月一六日

総所得金額 三九三万三八〇〇円

内訳 給与所得の金額 三九三万三八〇〇円

住宅取得等特別控除の額 二三万円

源泉徴収額 二〇万六五〇四円

納付すべき税額(還付金) △二〇万六五〇四円

申告書等の提出先 被告

ロ 確定申告日 平成七年三月一五日

総所得金額 四〇五万九四〇〇円

内訳 給与所得の金額 三九三万三八〇〇円

雑所得の金額 一二万五六〇〇円

特別減税額 四万三六八〇円

源泉徴収額 二〇万六五〇四円

納付すべき税額(還付金) △三万一七八四円

申告書等の提出先 枚方税務署長

(4) (1)、(2)及び(3)ロの各確定申告書には、「<3>税金から差し引かれる金額」欄の「源泉徴収税額欄」に、本件代理店報酬<2>とそれに係る源泉徴収税額が括弧書きされた後に、「上記外交員報酬は(株)旭保険代行の収益に帰属すべきもので申告人の所得となりません(別紙契約書)」などと付記されており、更に、原告銀市郎と旭保険代行の間の平成四年四月一日付け嘱託社員労働契約書(第二事件乙三、以下「本件労働契約書<2>」という。)、旭保険代行が発行した源泉徴収票及びアメリカン・ライフが発行した報酬等の支払調書が添付されていた。

本件労働契約書<2>には、旭保険代行は原告銀市郎を嘱託社員として雇用し、その報酬を支払うこと及び原告銀市郎がアメリカン・ライフとの契約により支払を受ける報酬についてはすべて旭保険代行に帰属することが記載されている。

(3)イの確定申告は、租税特別措置法四一条の適用を受けるためのものであって、本件代理店報酬<2>に関する事項は何ら記載されていない。

(三)(1) 原告銀市郎は、平成七年一〇月一六日、枚方税務署長に対し、平成四年分の所得税について、左のとおり、本件代理店報酬<2>を収入金額とし、本件代理店報酬<2>から源泉徴収税額相当額を差し引いた金額を仕入金額とし、事業所得の金額を源泉徴収税額相当額として、本件代理店報酬<2>に係る源泉徴収税額について還付を求める旨の更正の請求をした。

総所得金額 一二一万三六〇〇円

内訳 事業所得の金額 一二一万三六〇〇円

給与所得の金額 零円

源泉徴収税額 一二一万三六〇〇円

納付すべき税額(還付金) △一一三万一一〇〇円

(2) 原告銀市郎は、同日、枚方税務署長に対し、平成五年分の所得税について、左のとおり、(1)と同様に更正の請求をした。

総所得金額 三三九万七〇〇〇円

内訳 事業所得の金額 二四万四〇〇〇円

給与所得の金額 三一五万三〇〇〇円

源泉徴収税額 四〇万三五〇〇円

納付すべき税額(還付金) △二一万九六〇〇円

(3) 原告銀市郎は、同日、枚方税務署長に対し、平成六年分の所得税について(二)(3)ロの確定申告を前提として、左のとおり、(1)、(2)と同様に更正の請求をした。

総所得金額 四一八万四四〇七円

内訳 事業所得の金額 一二万五〇〇七円

給与所得の金額 三九三万三八〇〇円

雑所得の金額 一二万五六〇〇円

特別減税額 四万六一八〇円

源泉徴収額 三三万一五一一円

納付すべき税額(還付金) △一四万六七九一円

(4) 原告銀市郎は、平成八年三月一五日、被告に対し、平成七年分の所得税について、左のとおり、本件代理店報酬<2>を収入金額とし、本件代理店報酬<2>から源泉徴収税額相当額を差し引いた金額を仕入金額とし、事業所得の金額を源泉徴収税額相当額として、本件代理店報酬<2>に係る源泉徴収税額について還付を求める旨の確定申告をした。

総所得金額 四七三万七七八五円

内訳 事業所得の金額 一六万〇九八五円

給与所得の金額 四五七万六八〇〇円

源泉徴収税額 一六万〇九八五円

納付すべき税額(還付金) △一五万三九三〇円

(5) 原告銀市郎は、平成九年三月一七日、被告に対し、平成八年分の所得税につき、左のとおり、(4)と同様に確定申告をした。

総所得金額 五〇七万五三四七円

内訳 事業所得の金額 一二万一九五七円

給与所得の金額 四九五万三三九〇円

源泉徴収税額 二〇万三七五七円

納付すべき税額(還付金) △一一万一五三二円

(6) 被告は、原告銀市郎に対し、(4)、(5)の還付金を還付した(乙六、弁論の全趣旨)。

(7) 平成六年分の所得税については、それぞれ内容の異なる二通の確定申告書が枚方税務署長及び被告に提出されていたことが判明したため、被告が、旭保険代行の顧問税理士である大石麻瑳央税理士(以下「大石税理士」という。)に対し、その旨連絡したところ、原告銀市郎は、平成九年四月九日、被告に対し、左のとおり、修正申告をした。

総所得金額 四〇五万九四〇〇円

内訳 給与所得の金額 三九三万三八〇〇円

雑所得の金額 一二万五六〇〇円

住宅取得等特別控除の額 二三万円

源泉徴収額 二〇万六五〇四円

納付すべき税額(還付金) △二〇万六五〇四円

(8) 原告銀市郎は、同月一四日、被告に対し、平成六年分の所得税について、左のとおり、更正の請求を補正する旨の書面を提出した。

総所得金額 四一八万四四〇七円

内訳 事業所得の金額 一二万五〇〇七円

給与所得の金額 三九三万三八〇〇円

雑所得の金額 一二万五六〇〇円

住宅取得等特別控除の額 二三万円

源泉徴収額 三三万一五一一円

納付すべき税額(還付金) △三三万一五一一円

(四)(1) 被告は、平成九年五月八日、原告銀市郎に対し、(三)(1)ないし(3)(ただし、(3)は(8)で補正)の各更正の請求について、(三)(1)、(2)については、更正請求の期限を徒過しているとして、(三)(3)については、本件代理店報酬<2>が原告銀市郎に帰属するものではないとして、いずれも更正の請求を棄却する処分をした。

(2) 被告は、同日、原告銀市郎に対し、平成七年分の所得税について、本件代理店報酬<2>は原告銀市郎に帰属するものではないとして、左のとおりとする更正処分及びこれにかかる過少申告加算税一万五〇〇〇円とする賦課決定をし、原告銀市郎に通知した。

総所得金額 四五七万六八〇〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 四五七万六八〇〇円

源泉徴収税額 零円

納付すべき税額 零円

(3) 原告銀市郎は、被告に対し、同月一四日、(1)の処分を不服として、同月二二日、(2)の処分を不服として、それぞれ異議申立てをしたところ、被告は、同年七月七日、異議申立てをいずれも棄却する決定をした。

(4) 被告は、平成九年一二月一九日、平成八年分の所得税について、(2)と同様に、本件代理店報酬<2>は原告銀市郎に帰属するものではないとして、左のとおりとする更正処分及びこれにかかる過少申告加算税一万一〇〇〇円とする賦課決定をし、原告銀市郎に通知した。

総所得金額 四九五万三三九〇円

内訳 事業所得の金額 零円

給与所得の金額 四九五万三三九〇円

源泉徴収税額 八万一八〇〇円

納付すべき税額 零円

(5) 原告銀市郎は、平成一〇年一月二七日、被告に対し、(4)の処分を不服として異議申立てをしたところ、被告は、同年四月二〇日、異議申立てを棄却する決定をした。

(五) 原告銀市郎は、国税不服審判所長に対し、平成四年分ないし平成八年分の所得税に係る各異議棄却決定((四)(3)、(5))に対しなお不服があるとして、平成四年分ないし平成七年分の各所得税については、平成九年八月四日、平成八年分の所得税については平成一〇年五月一四日、それぞれ審査請求をした。

国税不服審判所長は、同年一二月一四日、右審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。

3  第一、第二事件共通

(一) 旭保険代行は、平成二年四月に設立され、主として生命保険の募集に関する業務及び損害保険代理業を営んでいた(第一事件乙三、弁論の全趣旨)。

(二) 旭保険代行は、平成四年四月一日から平成五年三月三一日まで、平成五年四月一日から平成六年三月三一日まで及び同年四月一日から平成七年三月三一日までの各事業年度の法人税について、本件代理店報酬<1>、<2>に関して日産生命ないしアメリカン・ライフにおいて徴収された源泉徴収税額を含めた全額を旭保険代行の益金の額に算入した上、右各代理店報酬に係る源泉徴収税額相当額を法人税から税額控除してそれぞれ法定申告期限内に法人税の確定申告をしていた。

(三) ところが、旭保険代行は、平成七年六月ころ、所轄税務署長から、法人税法六八条一項による税額控除の対象となるのは所得税法一七四条に規定する課税標準に係る所得税額であり、本件代理店報酬に係る源泉徴収税額は所得税法二〇四条によるものであるから税額控除ができない旨の指摘を受けたので、平成七年八月二一日、修正申告書を提出した。

(四) 原告らは、平成六年六月二七日、住所を大阪府枚方市香里園山之手町から肩書住所地に移転した。これに伴い、原告らの原処分庁は、枚方税務署長から被告となった。

二  争点及びこれに関する当事者の主張

1  争点

(一) 更正の請求期限の徒過について

原告らの平成四年分及び平成五年分所得税の更正の請求は、更正の請求期限を徒過してされたものであって、不適法であるか。

(二) 本件代理店報酬<1>、<2>の帰属について

本件代理店報酬<1>はいずれも旭保険代行に帰属するか。

2  争点についての当事者の主張

(一) 争点(一)について

(1) 被告の主張

国税通則法二三条一項によれば、平成四年分の所得税の更正の請求期限は、法定申告期限である平成五年三月一五日の一年後である平成六年三月一五日となり、平成五年分の所得税の更正の請求期限は、法定申告期限である平成六年三月一五日の一年後である平成七年三月一五日となるところ、原告らが、前記第二の一(三)(1)、(2)、2(三)(1)、(2)のとおり、右各所得税に係る更正の各請求をしたのは、いずれも平成七年一〇月一六日であるから、右更正の請求期限を徒過しており、不適法である。

したがって、原告らの訴えのうち、被告が、原告らの平成四年分及び平成五年分の各所得税について、平成九年五月八日付けで行った原告らの平成七年一〇月一六日付け更正の請求に対する棄却処分の取消しを求める部分(第一、第二事件各請求の趣旨一の一部)は不適法な訴えとして却下されるべきである。

(2) 原告らの主張

原告らは、旭保険代行の関稔税理士(以下「関税理士」という。)を通じて、複数の税務署において、旭保険代行に関連する代理店報酬の帰属の問題が発生していることから、まとめて奈良税務署が本件の問題を解決することになった旨の連絡を受けた。

関税理士らは、奈良税務署に対し、納税者からの更正請求期限が徒過したという理由で請求を却下することはないよう念押ししたところ、同署の誉田副署長は、「十分に理解しており、税法上当然に還付すべきものであれば、期限経過を理由にした却下はしない。」旨回答した。

同回答内容は、複数の税務署間での統一的解決手段としても妥当かつ合理的なものであり、それを信じることについて、原告らに何ら過失はない。

右によれば、被告の(1)の主張は、信義則に反するものというべきである。

(二) 争点(二)について

(1) 被告の主張

イ 所得税法一二条は、事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する旨規定している。

右規定によれば、収益の帰属主体は、契約者名義等が誰であるかにかかわらず、その収益について支配力を及ぼす者が誰であるか、また誰の収入に帰したかにより決せられるべきであると解される。

ロ 本件において、本件代理店契約<1>における原告陽子の名義及び本件代理店契約<2>、<3>における原告銀市郎の名義は、いずれも形式上のものにすぎず、実質的には当該契約に係る業務はすべて旭保険代行が行い、その収益を享受していたのは、旭保険代行であると認められ、所得税法一二条により、本件代理店報酬<1>、<2>はいずれも旭保険代行に帰属するものというべきである。

(2) 原告らの主張

イ 本件代理店契約<1>ないし<3>によれば、それぞれ生命保険の募集等業務の対価として、本件代理店報酬<1>については日産生命から原告陽子に対し、本件代理店報酬<2>についてはアメリカン・ライフから原告銀市郎に対しそれぞれ支払うことが約されているのであり、原告らの業務の遂行方法に関して何らの制限が課されておらず、第三者を通じてかかる業務を遂行することは十分に可能である。

そこで、原告らは、本件代理店契約<1>ないし<3>に基づく各業務をそれぞれ第三者である旭保険代行を通じて遂行したのである。

ロ 原告らが、旭保険代行に対し、右業務遂行の対価を支払うべきか否か、いくら支払うべきかということは、原告らと旭保険代行間の問題であって、本件代理店報酬<1>、<2>の帰属とは別次元の問題である。

原告らは、旭保険代行との間で、それぞれ委任契約ないし業務委託契約を締結し、本件代理店報酬<1>、<2>をそれぞれ原告らに帰属させ、それとは別に、旭保険代行が、原告らから、それぞれ本件代理店報酬<1>、<2>から源泉徴収税額を差し引いた額を業界の慣習に従い顧客紹介手数料として受領する旨及び預金通帳の管理、資金の移動、計算書類等の保管及び源泉徴収された所得税の処理等については、サービスとして旭保険代行が行う旨の合意をした。

したがって、本件代理店報酬<1>は原告陽子に、本件代理店報酬<2>は原告銀市郎にそれぞれ帰属するというべきである。

ハ 大阪西税務署は、平成七年の法人調査の際、本件代理店報酬<1>、<2>が旭保険代行に帰属しないことを前提とする旨を指摘し、奈良税務署の誉田副署長も同旨の判断していた。原告らは、税務署間で異なる判断がなされないように、大阪西税務署と共同で連絡文書を作成し、行政の判断に整合性が生じるように配慮してきたのである。

したがって、仮に、被告が、本件代理店報酬<1>、<2>が旭保険代行に帰属するという最終判断を下したのであれば、従前の大阪西税務署の指摘及び奈良税務署副署長の判断が誤っていたことを認めた上で、旭保険代行の修正申告の是正等の手段を講じるべきであるにもかかわらず、そのような手段を講じることなく、一方的に原告らの更正の請求を否定することは、信義に反するというべきである。

第三当裁判所の判断

一  争点(一)について

1  国税通則法二三条一項によれば、平成四年分の所得税の更正の請求期限は、法定申告期限である平成五年三月一五日の一年後である平成六年三月一五日となり、平成五年分の所得税の更正の請求期限は、法定申告期限である平成六年三月一五日の一年後である平成七年三月一五日となるところ、原告らが、前記第二の二1(三)(1)、(2)、2(三)(1)、(2)のとおり、右各所得税に係る更正の各請求をしたのが、いずれも平成七年一〇月一六日であることについては、当事者間に争いがない。

2  原告らは、前記第三の二2(一)(2)のとおり、関税理士らが、奈良税務署に対し、納税者からの更正請求期限が徒過したという理由で請求を却下することはないよう念押ししたところ、同署の誉田副署長は、「十分に理解しており、税法上当然に還付すべきものであれば、期限経過を理由にした却下はしない。」旨回答したなどとして、被告が、原告らの各更正の請求がその期限を徒過していると主張することは、信義則に反する旨主張する。

たしかに、大石麻瑳央の陳述書(甲三)及び同人の当公判廷における供述によれば、大石税理士が、関税理士らとともに、奈良税務署に赴いた際、誉田副署長に対し、更正請求期限が徒過したという理由で請求を却下することはない旨確認したところ、「そんなことはしません。趣旨は十分に理解しており、税法上当然に個人還付すべきものであれば、期限経過を理由にした却下はしない。」旨回答したことが認められる。

しかしながら、右回答の趣旨は、誉田副署長が、旭保険代行関連で他署においても問題が発生していることを踏まえ、内容を検討の上結論を出すこととし、その結果所得税法上、原告らに還付すべきものがあれば、更正の請求期限の徒過を理由に却下しないというものであって、奈良税務署の検討の結果、本件代理店報酬<1>、<2>はいずれも旭保険代行に帰属し、原告らには帰属しないとの結論に至ったこと(甲三、証人大石、弁論の全趣旨)に照らすと、被告が、原告らの各更正の請求がその期限を徒過していると主張することは、信義則に反するとはいえず、他に被告の主張が信義則に反すると認める事情もない。

1(一)  右によれば、原告らの平成四年分及び平成五年分の各所得税についての更正の各請求は、更正の請求期限を徒過したものであって、不適法である。

よって、原告らの平成四年分及び平成五年分の各所得税について、平成九年五月八日付けで行った原告らの平成七年一〇月一六日付け更正の請求に対し、被告が、更正の請求期限を徒過したことを理由に不適法であることを理由に棄却した処分は適法である。

(二)  なお、被告は、更正の請求期限を徒過する場合、更正の請求のみならず、更正の請求に対する棄却処分の取消しを求める訴え自体も不適法なものになることを前提に、本案前の答弁として原告の訴えを却下する旨の申立てをしているが、更正の請求期限を徒過することにより、更正の請求自体が不適法になるとしても、それにより更正の請求に対する棄却処分を取り消すことを求める訴え自体が訴訟要件を欠くことにならないから、右訴えは適法である。

二  争点(二)について

1  前記第二の1(一)、2(一)のとおり、原告陽子は、本件代理店契約<1>締結当時、旭保険代行に勤務し、平成九年四月以降、同社の取締役に就任し、同社から給与又は役員報酬の支払を受けており、原告銀市郎は、本件代理店契約<2>、<3>締結当時、日本ケイテムに勤務し、同社から給与の支払を受けていたこと、本件代理店契約<1>ないし<3>は、旭保険代行が複数の生命保険会社と代理店契約を締結することが法律上できなかったため、本件代理店契約<1>は原告陽子と日産生命との間で、本件代理店契約<2>、<3>は原告銀市郎とアメリカン・ライフとの間で締結されたものであること、原告らは、それぞれ本件代理店契約<1>ないし<3>締結後、旭保険代行との間で本件労働契約書<1>、<2>を作成し、本件代理店契約<1>ないし<3>に係る報酬は、すべて旭保険代行に帰属する旨約しており、原告らは、通常作成しているべき代理店業務に係る帳簿書類を作成しておらず、代理店としての業務である保険募集業務をすべて旭保険代行が行っていること、日産生命から本件代理店報酬<1>が振り込まれる本件口座<1>及びアメリカン・ライフから本件代理店報酬<2>が振り込まれる本件口座<2>に係る通帳及び印鑑は、いずれも旭保険代行が保管・管理しており、振込の直後に同額の金員が出金されて旭保険代行名義の預金口座に入金されていたこと、日産生命、アメリカン・ライフから送付される関係者類等も旭保険代行宛てに送付され、同社が保管・管理していたこと、原告ら自身、それぞれ平成四年分ないし平成六年分の各所得税の確定申告において、本件代理店報酬<1>、<2>は、旭保険代行に帰属するもので、原告らの所得にはならないとし、他方、旭保険代行もまた、所轄税務署から指摘を受ける直前の法人税の申告(平成六年四月一日ないし平成七年三月三一日)まで、本件代理店報酬<1>、<2>に関して日産生命ないしアメリカン・ライフにおいて徴収された源泉所得税額を含めた金額を同社の益金とし、右源泉徴収税額相当額につき税額控除を受けていたこと、旭保険代行が、所轄税務署から本件代理店報酬<1>、<2>に係る源泉徴収税額相当額は、税額控除の対象とならない旨指摘を受けたことから、原告らは、源泉徴収税額相当額の還付を受けるべく、本件代理店報酬<1>、<2>がそれぞれ原告らに帰属するものとして、平成四年分ないし平成六年分については更正の請求、また、原告陽子の平成七年分ないし平成九年分、原告銀市郎の平成七年分及び平成八年分の各所得税については確定申告をそれぞれしたことが推認できる。

2  右各事実によれば、旭保険代行は、法律上複数の生命保険会社と代理店契約を締結することが禁止されていたため、原告ら名義で日産生命及びアメリカン・ライフの保険代理店の業務を遂行していたものであり、その事業から生ずる収益を取得していたといえるから、所得税法一二条により、本件代理店報酬<1>、<2>はいずれも旭保険代行に帰属し、原告らには帰属しないというべきである。

3  これに対し、原告らは、前記第二の二3(二)(2)のとおり、旭保険代行との間で、それぞれ委任契約ないし業務委託契約を締結し、本件代理店報酬<1>、<2>をそれぞれ原告らに帰属させ、それとは別に、旭保険代行が原告らからそれぞれ本件代理店報酬<1>、<2>から源泉徴収税額を差し引いた額を業界の慣習に従い顧客紹介手数料として受領する旨及び預金通帳の管理、資金の移動、計算書類等の保管及び源泉徴収された所得税の処理等については、サービスとして旭保険代行が行う旨の合意をしたから、本件代理店報酬<1>、<2>はそれぞれ原告らに帰属する旨主張する。

しかしながら、原告ら主張にかかる委任契約ないし業務委託契約や合意については、その存在を裏付ける契約書等の書面は作成されていないこと(証人大石)、旭保険代行の顧問税理士である大石税理士においても、源泉徴収税相当額を手数料とする業界の慣習はないと思っていること(証人大石)、原告らと旭保険代行との間で取り交わされた本件労働契約書<1>、<2>(第一事件乙二、第二事件乙三)には、本件代理店契約<1>ないし<3>に係る報酬はいずれも旭保険代行に帰属する旨明記されていること、原告ら及び旭保険代行は本件代理店報酬<1>、<2>が旭保険代行に帰属するもので、原告らの所得にならないものとして、所得税の申告をしたり、法人税の税務控除を受けたりしてきたこと(前記1)、以上に加え、前記1ないし<9>の各事実に照らせば、原告ら主張にかかる委任契約ないし業務委託契約や合意についてはこれを認めることができない。

4  以上によれば、本件代理店報酬<1>、<2>はいずれも旭保険代行に帰属し、原告らには帰属しないことを前提とする、被告が原告らの平成六年分の各所得税について平成九年五月八日付けで行った原告らの平成七年一〇月一六日付け各更正の請求に対する各棄却処分、被告が原告らの平成七年分の各所得税について平成九年五月八日付けで行った各更正処分、被告が原告らの平成八年分の各所得税について平成九年一二月一九日付けで行った各更正処分、被告が原告陽子の平成九年分の所得税について平成一〇年七月九日付けで行った更正処分はいずれも適法である。

また、右を前提に、被告が原告らの各平成七年分の所得税について平成九年五月八日付けで行った過少申告加算税の各賦課決定、被告が原告らの平成八年分の各所得税について平成九年一二月一九日付けで行った過少申告加算税の各賦課決定、被告が原告陽子の平成九年分所得税について平成一〇年七月九日付けで行った過少申告加算税の賦課決定は、原告らにそれぞれ還付された金額に対し、国税通則法六五条一項、二項に基づき算定された金額を賦課するものであっていずれも適法であり、それぞれ更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、同条四項に規定する正当な理由があると認めるに足りる証拠はない。

三  結論

以上によれば、原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条、六五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 神吉正則 裁判官 佐賀義史 裁判官 後藤真孝)